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第71首 涙は同じく
うれしきも つらきもおなじ なみだにて あうよもそでは なおぞかわかぬ
会えなくて辛くて、その辛さに涙を流してきたけど、涙って嬉しい時にも流れるんだね。
ようやくあなたに会えたこの夜も、嬉しさでやっぱり、わたしの袖は乾かないの。
【ちょこっと古語解説】
○逢う……単に二人の人が出会うというだけではなく、二人の男女が夜を共にすることまで含む。
○袖……和歌の中で「袖」が出てきたら、泣いているのかなー、と思ってください。この和歌の中では、はっきり「涙」という語が出ていますが、無い時も「袖」が出てきたら「涙」をイメージしてください。
○なお……やはり。
うれしきもつらきも同じ涙にて逢う夜も袖はなおぞかわかぬ(新勅撰和歌集)




