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第68首 こころ届け
そでのうえの なみだぞいまは つらからぬ ひとにしらるる はじめとおもえば
片想いを打ち明けようとして、打ち明けられず、そのたびに涙を流して来た。
つらくて、つらい涙。
でも、もうこの涙はつらくない。
想いを告げながら流す涙は、あなたにわたしの気持ちを知ってもらえる始めになると思うから。
【ちょこっと古語解説】
○袖……和歌で「袖」と言えば、涙! 今日から涙したときは、ハンカチやティッシュじゃなくて、袖で拭ってください!
○人……和歌で「人」と言えば、「大好きなあの人」の意を表すことが多い。
袖のうえの涙ぞ今はつらからぬ人に知らるる始めと思えば(新勅撰和歌集)




