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第63首 泣き泣きて
わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし
あなたは知らないでしょう。
引き潮のときにも海中に隠れて見えない沖の石。
その石が海水に濡れ続けるようにわたしの袖も涙に濡れて、乾く間もないことを。
【ちょこっと古語解説】
○袖……和歌で「袖」と来たら、涙を連想すること。涙を袖でぬぐうわけ。
○潮干……引き潮の状態を表す。
○人こそ知らね……和歌で「人」と来たら、「大好きなカレ・カノジョ」を表すことがほとんど。ただし、この和歌では一般人とも取れる。「ね」は「ず」が変化した形。「ず」は「~ない」という打消の意なので、全体で「あなたは〔人は〕知らない」くらいの訳となる。
わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らねかわく間もなし




