56/297
第55首 再会の誓い
せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう
川の流れが早く、その流れが岩にせき止められて分かれてしまった。
まるで、ぼくたちが別れてしまったかのように。
でも、分かれた流れはまた一つになる。
それと同じように、ぼくたちはもう一度、必ず会おう。
【ちょこっと古語解説】
○瀬をはやみ……「瀬」は、「川の流れの浅いところ」の意。「『名詞』を『形容詞の語幹』み」で、「『名詞』が~なので」の意となり、全体で、「川の流れが速いので」くらいの訳となる。
○せかるる……「せか」は、「せく」の変化で、「せきとめる」の意。「るる」は、「る」の変化で、「~される」という意味。全体で、「せきとめられる」くらいの訳。
○あわ……「あわ」は、「あう」の変化。この「あう」には、分かれた水が合流することと、男女が逢うことの二つの意味が掛けられている。
瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあわんとぞ思う




