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第5首 夢に見る人
おもいつつ ぬればやひとの みえつらん ゆめとしりせば さめざらましを
(小野小町)
あなたのことを思う。
もうどのくらい会っていないんだろう。
寂しいよ。
思いながら寝たからかな、あなたが夢の中に出てきた。
いつも通りの笑顔のあなたに、寄りそうわたし。
夢の中で二人。
ふと夢から覚めて一人。
もしも夢だって知っていたら、ずっと夢の中、目覚めようとなんてしなかったのに。
【ちょこっと古語解説】
○ばや……ここでは、「~だからだろうか」の意。
○人……「恋しいあの人」の意。和歌の中で「人」と出てきたら、そのように考えてOK。
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを
(古今和歌集)