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第43首 心情の変化
きみがため おしからざりし いのちさえ ながくもがなと おもいけるかな
想いを遂げる以前は、惜しくなかったこの命。
その命まで、きみのせいで、長く続いてほしいと思うようになってしまった。
想いを遂げた今。
少しでも長く一緒にいたいんだ。
【ちょこっと古語解説】
○惜しからざりし……「ざり」は、「~ではない」の意。「し」は、「~だった」という意味。全体で、「惜しくはなかった」くらいの訳。
○もがな……願望を表す語。「~であればなあ」の意。
○思いけるかな……「ける」は、「けり」で、気づきを表す語。「かな」は、詠嘆を表す。全体で、「気がつくとそう思っていたのだった、ああ」という感じ。
君がため惜しからざりし命さえ長くもがなと思いけるかな




