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第42首 恋の夜と昼
みかきもり えじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもえ
(大中臣能宣)
王宮の門を守る兵士が焚く火。
その火は夜は燃え、昼は消えている。
きみに寄せるぼくの思いも同じだ。
夜は燃えるようになるが昼は消え、もの思いにふけるばかりだ。
【ちょこっと古語解説】
○みかきもり……宮中の諸門を警護する兵士。
○ものをこそ思へ……「ものを思ふ」は、恋のもの思いをする意。「思へ」という形は、「こそ」という語の効果によって、その形になっているだけで、命令の形ではない。なので、全体の意味は、「ものを思ふ」という表現と変わらない。
みかきもり衛士のたく火の夜は燃え昼は消えつつものをこそ思へ
(詞花和歌集/恋上-225)




