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第41首 心くだけて
かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな
(源重之)
風が激しく吹いている。
その風に吹かれて起こされた波が岩を打ち、砕け散る。
それはまるでぼくの今の気持ちのようだ。
きみの冷たい仕打ちにぼくの心はくだけ、ぼくだけが思い悩んでいる。
【ちょこっと古語解説】
○風をいたみ……「名+を+形容詞の語幹+み」で、「名が~なので」の意。例えば、「山を高み」で、「山が高いので」となる。「いた」というのは、元の形(=辞書で引くときの形)は「いたし」で「程度がはなはだしい」意を表す。全体で、風が激しいので、くらいの訳となる。
風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな
(詞花和歌集/恋上-211)




