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第40首 行く先不明
ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな
(曽禰好忠)
この恋がどうなるか、ぼくには分からない。
ぼくはまるで激流に翻弄される小舟の船頭のよう。
かじを失くしてしまって、もう流れに身を任せるしかない。
この気持ちがこの先どこへ向かうのか、もう分からないよ。
【ちょこっと古語解説】
○由良のと……京都府宮津市の由良川の河口。激流。
○舟人……船頭のこと。
○かじ……舟を操る道具。一番イメージしやすいのは、ボートのオールだろう。
○たえ……元の形(=辞書で引くときの形)は、「たゆ(絶ゆ)」で、「なくなる」の意。
由良のとを渡る舟人かぢをたえ行くへも知らぬ恋の道かな
(新古今和歌集/恋1-1071)




