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第4首 告白のとき
ひとしれず おもえばくるし くれないの すえつむはなの いろにいでなん
(詠み人知らず)
きみに知られずにずっと想いを寄せて来た。
ずっとずっと、ずっと。
秘めたこの気持ちが苦しくて、もうこれ以上隠せそうにない。
その唇に差す鮮やかな紅が、末摘花を思わせる。
花の色が黄から赤へと変わるとともに、深まってきたぼくの想い。
好きなんだ。
今こそきみにこの気持ちを告げよう。
【ちょこっと古語解説】
○末摘花……ベニバナの異名。花は染料や口紅となる。山形県の県花。
○色に出でなむ……「色」には「外に表れる気配・様子」という意があり、「なむ」は「必ず~しよう」という意味から、「外に表してしまおう」くらいの訳になる。
人知れず思へば苦し紅の末摘花の色に出でなむ
(古今和歌集)