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第34首 表情の変化
しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで
(平兼盛)
恋なんだろう、と言われたよ。
きみのこと一度も話していないのに。
心のうちにしのんできたきみへの思い。
それがいつのまにか顔色に表れてしまったみたいなんだ。
【ちょこっと古語解説】
○しのぶれど……「しのぶれ」は、元の形は「しのぶ」で、「我慢する」の意。第33首に同じ。「ど」は、「~だけれど」を表す。全体で、「我慢したけれど」くらいの訳。
○色……顔つきや表情などのこと。
○ものや思ふ……「もの思ふ」は恋のもの思いをするということ。「や」は疑問。
しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで
(拾遺和歌集/恋1-622)




