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第33首 想い溢れて
あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき
(参議等)
浅茅の生えている篠原に、そよ風が吹く。
さわさわとした葉の音が、想いをあふれさせるんだ。
しのび続けてきたけれど、どうしてだろうか。
きみのことが、こんなに恋しいのは。
【ちょこっと古語解説】
○浅茅生……「浅茅」は丈の短い茅。「生」は草や木が生えているところ。
○篠原……細い竹の生えている野原。
○しのぶ……我慢する、の意。
○あまりて……あまり、は「あまる」で多すぎてあふれること。
○などか……どうして、の意。
浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき
(後撰和歌集/恋1-578)




