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第286首 恋は減らず
ももとせに おいしたいでて よよむとも われはいとわじ こいはますとも
(大伴家持)
若く美しいあなた。
それだからあなたを愛しているというわけではありません。
百歳になって年老い舌が出て腰が曲がったとしても、わたしが嫌がることがあるでしょうか。
決してそんなことはありません、あなたへの恋しさがまさることはあっても。
【ちょこっと古語解説】
〇百年……100年。多くの年月の意。
〇よよむ……腰が曲がること。
〇とも……「~したとしても」くらいの意。
〇いとは……元の形は「いとふ」で、嫌がること。
〇じ……打消意志を表す助動詞。「~しないようにしよう」くらいの訳。
百年に老舌出でてよよむとも吾はいとはじ恋は増すとも
(万葉集4-764)




