28/297
第28首 恋への絶望
なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや
(伊勢)
芦が生い茂る中にわたしはたたずんでいます。
それは美しくも寂しげで、想いは遥かあなたのもとへと。
芦の節と節のそのあいだ。
そのくらいの短い間でいいんです。
ほんの少しもあなたに会わないままでこの世を終えてしまえと、あなたはそう言うのでしょうか。
【ちょこっと古語解説】
○難波潟……現在の大阪湾の一部。芦が生い茂っていた。なお、あしは「悪し(悪い)」につながるので縁起が悪いということで、「よし」という別名もある。
○ふしの間も……芦の節と節の間。転じて、ほんの少しの時間のこと。
○で……「~ないで」の意。文法用語で、「打消接続」という。
難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや
(新古今和歌集/恋1-1049)




