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第274首 夢に待つ人
ゆうさらば やどあけまけて われまたん いめにあいみに こんというひとを
(大伴家持)
夕方になったら、いよいよ夜が近づいてくる。
さて、家の戸を開けて準備して、待とう。
夢の中で会いに行きますと言ってくれた、あの人のことを。
【ちょこっと古語解説】
〇ゆう去らば……「夕方が来たら」という意味。
〇屋戸……家の戸のこと。
〇まけ……元の形(=辞書を引くときの形)は「まく」で、準備する。
〇む……意志の助動詞。「~しよう」ほどの訳。
〇夢……読みは「いめ」だが、「ゆめ」に同じ。
〇相見……互いに相手を見ること。
ゆふ去らば屋戸開けまけて吾待たむ夢に相見に来むといふひとを
(万葉集4-744)




