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第273首 七つ石の恋
わがこいは ちびきのいわを ななばかり くびにかけんも かみのまにまに
(大伴家持)
私の恋の苦しさを教えましょう。
千人でやっと引ける石を七つ首にかけたほど。
この苦しみは誰のせいでしょうか、あなたのせい? わたしのせい?
いいえ、すべてこれ神様の思し召しなのです。
【ちょこっと古語解説】
〇千引の石……千人で引かなければ動かせないような重い岩のこと。
〇七ばかり……七つほど。
〇む……推量の助動詞。
〇神のまにまに……「まにまに」は「任せて」の意。「神のまにまに」で、「神の意のままに」ほどの訳。
吾が恋は千引の石を七ばかり首にかけむも神のまにまに
(万葉集4-743)




