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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
万葉の歌
272/297

第271首 夢のつらさ

いめのあいは くるしかりけり おどろきて かきさぐれども てにもふれねば

(大伴家持)

 夢で会えるだけで嬉しいと言う人もいる。

 しかし、わたしに言わせれば、夢で会うのは何とつらいことだろうか。

 目を覚まして、あなたを確かめるために手探りしても、

 何も手に触れないときの空しさといったらない。


【ちょこっと古語解説】

(いめ)……夢のこと。

○けり……「気づき」を表わす助動詞。「~だったのだなあ」ほどの訳。

○おどろき……元の形(=辞書で引くときの形)は「おどろく」で、「目を覚ます」こと。「驚く」ことではないので注意。

○ねば……「ね」は元の形は「ず」で打消(うちけし)を表わし、「ば」は原因・理由を表わす。全体で、「~ないので」ほどの訳。

夢の逢ひは苦しかりけりおどろきてかき探れども手にもふれねば

(万葉集4-741)

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