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第27首 夢への招待
すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん
(藤原敏行朝臣)
闇の中に響く波の音。
波が寄せる岸辺に生い茂る松。
あなたを待つわたしの元に立ち寄る人はいない。
夜見る夢の中でも会いに来てくれないなんて。
お昼ならまだしも、いったい誰の目を気にしているの。
【ちょこっと古語解説】
○住の江……大阪市住吉区の一帯の海岸で、松の名所。
○よるさへや……よるは、波が「寄る」と「夜」を同時に表している。「さへ」は、「~までも」の意。「昼間だけではなく夜までも」という気持ちを込めている。「や」は疑問。
○夢の通ひ路……好きな人が夢に現れると、現代だと、自分が会いたいと思うから夢に見た、と解釈するのが一般的である。これは古代も変わらない(第5首参照)。しかし、古代にはもう一つの解釈があって、それが、「相手が自分のことを想って夢の中に現れてくれた」というものである。このとき、恋人が夢の中で自分に会いに来てくれる道のことを、夢の通ひ路という。
○人め……人目のこと。他人の見る目。
○よく……「避ける」の意。
住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ
(古今和歌集/恋2-559)




