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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
万葉の歌
265/297

第264首 いっそ玉に

わがおもひ かくてあらずは たまにもが まこともいもが てにまかれむを

(大伴宿祢家持)

 ぼくがきみのことを恋い慕うこの思い。

 この気持ちがこんなにも辛いものなら、人であることをやめて、いっそ宝石にでもなりたい。

 そうしたら、辛い思いをすることもなく、きみの手に巻かれて、ずっと一緒にいることができるのだが。


【ちょこっと古語解説】

○かくてあらずは……「このようになるなら、かえって」くらいの意味。

(たま)……球状の宝石のこと。

○もが……願望を表す助詞。「~であったらなあ」くらいの意味。

○まことも……本当であること。

○巻かれ()を……「れ」は、元の形は「る」で、受身を表す助動詞。「む」は、意思を表す助動詞。「を」は、詠嘆を表している。全体で、「巻かれようものを」ほどの訳。


【ちょこっと背景解説】

 この歌は、第259首(万葉集4-729)への返歌である。返歌とは、ある歌への返事としての歌のこと。

わがおもひかくてあらずは玉にもがまことも妹が手に巻かれむを

(万葉集4-734)

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