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第25首 恋心深まる
つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる
(陽成院)
山の頂上から生まれた細い流れ。
それが次第に太くなり、ついに激しくたぎり落ちる。
ぼくがきみへ寄せる想いも同じだ。
初めはほのかなものにすぎなかった気持ちが、積もり積もって大きくなった。
まるで川の淵のように想いはたまり、川の淵のように気持ちが深まったんだ。
【ちょこっと古語解説】
○筑波……茨城県の筑波山。山頂が男体山と女体山に分かれている。
○つる……元の形(=辞書で引くときの形)は、「つ」で、完了を表す助動詞。「~(し)た」と訳す。
○淵……流れがよどんで深くなっているところ。
筑波嶺の峰より落つる男女川恋ぞつもりて淵となりぬる
(後撰和歌集/恋3-777)




