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第247首 嘆くばかり
こころには おもいわたれど よしをなみ よそのみにして なげきそわがする
(大伴宿禰家持)
あなたのことを愛しく思い続けています。
でも、お会いする手段がない。
よそながらあなたのことを考えるばかり。
他にできることと言えば、嘆くことくらいなのです。
【ちょこっと古語解説】
○わたれ……元の形は、「わたる」で、動詞について、「~し続ける」という意を添える。
○よしをなみ……「よし」は手段のこと。「な」は、「なし(=無い)」を表し、「み」は、「~なので」という意味。全体で、「手段が無いので」ほどの訳。
○よそ……無縁の存在。
心には思ひ渡れどよしをなみ外のみにして嘆きそ我がする
(万葉集4-714)




