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第246首 噂話のせい
かきほなす ひとごとききて わがせこが こころたゆたい あわぬこのころ
(丹波大女娘子)
垣のように周りを取り巻いて、噂話をする人たち。
その人たちが、わたしたち二人の悪評を流している。
それを聞いて、心がくじけてしまったのでしょうか
この頃、あの人は、わたしに会ってくれないのです。
【ちょこっと古語解説】
○垣穂……垣根のこと。
○人言……世間の噂。
○背子……女性が、夫・恋人・兄弟など、親しい男性を呼ぶ言葉。
○たゆたひ……元の形は、「たゆたふ」で、ゆらゆらと動いて定まらないこと。ここでは、心が定まらないことを言う。
○逢はぬ……「逢は」は元の形は「逢ふ」で、単に会うだけではなく男女が夜を共にすることまで指す。「ぬ」は元の形は「ず」で、打消を表す助動詞。
垣穂なす人言聞きて我が背子が心たゆたひ逢はぬこのころ
(万葉集4-713)




