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第244首 月の出る間
ゆうやみは みちたづたづし つきまちて いませわがせこ そのまにもみん
(豊前國娘子大宅女)
わたしの大切なあなた。
帰り道は今、夕闇に閉ざされて危険です。
お帰りにならないで、とは言いません。
でも、どうぞ月が出るまでの間だけでも、ここにいらしてください。
その間だけでも、あなたと一緒にいることができれば、幸せです。
【ちょこっと古語解説】
○たづたづし……あぶなっかしい。
○いませ……元の形は、「います」で、いらっしゃるの意。
○背子……女性が男性を親しんで呼ぶ語。
○む……意志を表す助動詞。「~しよう」ほどの訳。
夕闇は道たづたづし月待ちていませ我が背子その間にも見む
(万葉集4-709)




