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第242首 花のあなた
はねかづら いまするいもを ゆめにみて こころのうちに こいわたるかも
(大伴宿禰家持)
はねかづらを身につけた年頃のあなた。
まるで花の精のよう。
それを夢に見てからというもの心から離れない。
あなたのことが恋しくてたまらない。
【ちょこっと古語解説】
○はねかづら……少女のつける髪飾り。どのようなものであったか諸説あるけれど、花をあしらった飾りととらえておく。
○妹……男性が親しい女性を呼ぶときの呼び方。
○渡る……元々は「移動する」意だが、動詞の後につけると、「~し続ける」という意味になる。
○かも……詠嘆を表す語。「~だなあ」くらいの訳。「~かもしれない」という意ではないので、注意。
はねかづら今する妹を夢に見て心の内に恋ひ渡るかも
(万葉集4-705)




