242/297
第241首 長命の祈り
たくなわの ながきいのちを ほりしくは たえずてひとを みまくほりこそ
(巫部麻蘇娘子)
栲縄のように長く長く生きていたい。
長生きをわたしが願ったわけは、他でもありません。
あなたのことを絶えず思っているからこそです。
長く生きていれば、いつかまたお目にかかれる日が来ると信じているから。
【ちょこっと古語解説】
○栲縄の……楮(=クワ科の落葉低木で、古くは和紙の原料にもなった)の皮をより合わせて作った白い縄。
○欲りし……「欲り」は、元の形は「欲る」で、強く求めること。「し」は、元の形は「き」で、過去を表す助動詞。
○絶えず……絶えることなく。
○人……和歌で「人」とあったら、まず、恋人のことを指すと思ってよい。
栲縄の長き命を欲りしくは絶えずて人を見まく欲りこそ
(万葉集4-704)




