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第24首 秋の夜長に
あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん
(柿本人麿)
夜空の下に、山の姿が黒々としている。
その山に向かって飛んで行く鳥の尾がやけに長い。
きみは来ずに、今夜もひとり。
この長い夜をまたぼくひとりで寝るのだろうか。
【ちょこっと古語解説】
○あしびきの……足を引くように山の裾野が広がっている様。山に関係する語とセットで使われる語。このように、何かとセットで使われる語のことを、枕詞という。
○山鳥……キジ科の鳥。昼は雌雄一緒にいるが、夜は別々に別れるという。
○しだり尾……垂れ下がった尾
○か……疑問の意を表す。
○む……「~だろう」の意。
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む
(拾遺和歌集/恋3-773)




