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第236首 冷たい君に
うわえなき いもにもあるかも かくばかり ひとのこころを つくさくおもえば
(大伴家持)
愛想が無い人だね、きみは。
本当にそう思うよ。
その冷淡な態度で、ぼくの心はここまで衰弱した。
もう尽きてしまいそうなほどだ。
【ちょこっと古語解説】
○うはへなき……元の形は「うはへなし」で、表面を飾らない・愛想が無いこと。
○妹……「妻・恋人・姉妹」など、男性が親しい女性を呼ぶ時に、呼びかけの語として使う。現代語の「妹」ではない。
○かも……詠嘆を表す語。「~だなあ」くらいの訳。「~かもしれない」という意味ではない。
○かくばかり……これほど。
○人……和歌で「人」と言えば、「恋人」のことを指すことが多いが、ここでは、作者自身のこと。
○尽くさく……この「く」は、「こと」を表す。全体で、「尽くすこと」という意。
○思へば……この「ば」は、「~すると」の意なので、全体で、「思うと」くらいの訳になる。「思ったら」という仮定の意ではないので注意。
うはへなき妹にもあるかもかくばかり人の心を尽くさく思へば(万葉集4-692)




