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第234首 報われぬ恋
おもうらん ひとにあらなくに ねもころに こころつくして こうるわれかも
(大伴家持)
思った分だけ、思いを返してくれる人でもないだろう。
こんなに思っても無駄かもしれない。
それなのに、どうしても心を込めてあの人のことを想ってしまう。
いずれその心も尽きてしまうほど恋をするわたし。
【ちょこっと古語解説】
○思ふ……単に、あることを心の中に浮かべる意ではなくて、ここでは、「愛する」という意。
○らむ……現在の推量を表す助動詞。「~しているだろう」くらいの訳。
○あらなくに……「~ではないのに」の意。
○ねもころに……心を込めて、念入りに。
○心尽くし……心が尽きるほど、気を揉むこと。
○かも……詠嘆を表す語。「~だなあ」くらいの訳。
思ふらむ人にあらなくにねもころに心尽くして恋ふる我かも(万葉集4-682)




