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第23首 諦めの境地
ながれては いもせのやまの なかにおつる よしののかわの よしやよのなか
(詠み人知らず)
流れ流れて妹背山の中に落ちる吉野川。
その川の流れはまるで、恋に傷ついて泣く恋人たちの気持ちのように激しい。
もうどうにでもなれ、仕方ない、男女の仲というものは。
【ちょこっと古語解説】
○妹背山……和歌山県伊都郡かつらぎ町にある山。「妹」とは妻あるいは恋人の女性を表し、「背」とは夫あるいは恋人の男性を表す。
○吉野の川……吉野川。奈良県中央部を流れる川。和歌山県に入って「紀の川」となる。
○よしや……「もうどうにでもなれーい」という投げやりな気持ち。
○世の中……世の中には三つの意味がある。①世間、②政治の世界、③男女の仲。ここでは③の意。
流れては妹背の山の中に落つる吉野の川のよしや世の中
(古今和歌集/恋5-828)




