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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
万葉の歌
223/297

第222首 千鳥を妬み

さよなかに ともよぶちどり ものもうと わびおるときに なきつつもとな

(大神郎女)

 夜中にしきりに千鳥の鳴き声がします。

 友を呼んで鳴いているのです。

 ひとりで恋の物思いにふけり、つらい気持ちでいる夜。

 その声を聞いていると、たまらない気持ちになるのです。


【ちょこっと古語解説】

○さ夜中……夜中、に同じ。

○千鳥……鳥の名。ちどり科の鳥の総称。川・海・湖沼の水辺に群れをなしてすむ。

○物思ふ(もう)……物思いにふける。

○わび()る……「わび」は元の形は「わぶ」で「気落ちする」意。「居る」は元の形は「居り」で動詞のあとに続けると「~し続ける」意を添える。

○つつ……動作の反復を表す。

○もとな……むやみに。

さ夜中に友呼ぶ千鳥物思ふとわび居る時に鳴きつつもとな(万葉集4-618)

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