219/297
第218首 告白を悔い
なかなかに もだもあらましを なにすとか あいみそめけん とげざらまくに
(大伴家持)
いっそ黙っていればよかった。
なにがしたかったのか分からない。
どうして君に想いを告げてしまったのだろう。
遂げることができる恋ではないのに。
【ちょこっと古語解説】
○なかなかに……いっそのこと。かえって。
○黙……黙っていること。
○あらまし……「あら」は元の形は「あり」で「ある」、「まし」は反実仮想を表す助動詞で「~だったらなあ」ほどの意味。全体で、「あったらなあ」くらいの訳。
○見そめ……元の形は「見そむ」で、「恋し始める」の意。
○けむ……過去の推量を表す助動詞で、「~だっただろう」ほどの訳。
○遂げざらまくに……「遂げ」は元の形は「遂ぐ」で「なしとげる」、「ざら」は元の形は「ず」で打消を表す助動詞、「まくに」は「~だろうことなのに」ほどの意味。全体で「遂げられないであろうことであるのに」くらいの訳。
なかなかに黙もあらましをなにすとか相見そめけむ遂げざらまくに(万葉集4-612)




