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第21首 心にある花
いろみえで うつろうものは よのなかの ひとのこころの はなにぞありける
(小野小町)
あなたに一つ問題を出すね。
色が無いのに色あせてしまうもの、なーんだ。
花の色がうつるのは目に見えるよね。
これは目に見えないの。
目には見えずにうつるもの。
それはね……。
この世にいる人の心の花だよ。
【ちょこっと古語解説】
○で……「~ないで」の意。「見えで」で、「見えないで」くらいの訳。
○移ろふ……色があせること。
○人……ここでは、一般に人という意味。
○ける……元々の形(=辞書で引くときの形)は「けり」である。和歌の中で使われると、「~だなあ」という詠嘆の意を表す。
色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける
(古今和歌集/恋5-797)




