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第204首 岩本菅の心
おくやまの いわもとすげを ねふかめて むすびしこころ わすれかねつも
(笠女郎)
奥山にある岩の根元に生える菅。
その根は深いと聞いています。
わたしとあなたが結んだ心も同じように深いもの。
そのときの気持ちを忘れることはできません。
【ちょこっと古語解説】
○奥山……人里から離れた奥深い山。
○岩本菅……岩の根元に生えている菅。菅はカヤツリグサ科の植物の総称。
○根深め……元の形は「根深む」で、根を深く下ろす。
○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。
○かねつも……「かね」は元の形は「かぬ」で、「~するのが難しい」の意。「つ」は完了を表す助動詞。「も」は詠嘆を表す語。「~するのが難しいのだなあ」くらいの訳。
奥山の岩本菅を根深めて結びし心忘れかねつも(万葉集3-397)




