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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
万葉の歌
203/297

第202首 無理な願い

なおもいそと きみはいうとも あはんとき いつとしりてか わがこいざらん

(依羅娘子)

 思いつめないでくれとあなたは言うかもしれません。

 でも、次にお会いできる時はいつなのでしょう。

 いついつだと知れば、これほど恋い慕わないかもしれません。

 いつか分からないからこそ、こうして物思いにふけってしまうのです。


【ちょこっと古語解説】

○な思()そ……「な~そ」で柔らかな禁止を表す。「~しないでください」くらいの訳。「思ひ」は、元の形は「思()」で、心配するの意。古語の「思ふ」は、現代語と違って意味が広く、他に愛するなども含む。

○とも……「たとえ~するとしても」の意。

○逢はむ(わん)時……「逢()」は、単に会うだけではなく、一夜を共にすることを含む。「む」は、婉曲を表す助動詞。訳には表れない。全体で、「会う時」くらいの訳。「会わない時」と訳さないように注意。

()()ざら()……「()()」の元の形は「恋ふ」で、恋しく思うこと。「ざら」の元の形は、「ず」で打消を表す助動詞。「()」は、推量を表す助動詞。全体で、「恋しく思わないだろう」くらいの訳。


な思ひそと君はいふとも逢はむ時いつと知りてか我が恋ひざらむ(万葉集2-140)

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