第198首 占いに対す
おおぶねの つもりがうらに のらむとは まさしにしりて わがふたりねし
(大津皇子)
津守の占いで告げられる。
二人の許されない仲が。
でも、そんなことは知っていたよ。
知っていてなおわたしたちは一夜を共にしたのだ。
【ちょこっと古語解説】
○大船の……枕詞。大船がとまるところから「津(=港)」にかかる。枕詞とは、ある語を言いたいがために、その前に置かれる、それ自体は意味の無い言葉のこと。
○占……占い。
○告らむ……「告ら」は、元の形は「告る」で、「告げる」意。「む」は推量を表す助動詞。全体で、「告げるだろう」ほどの訳。
○まさしに……見込み通りであることを表す。
○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。「~た」くらいの訳。
【ちょこっと背景解説】
この和歌の詠み手である大津皇子は、石川郎女という女性に求愛していた。その石川郎女は、草壁皇子という、大津皇子の兄からも求愛されており、三角関係だった。大津皇子と草壁皇子は、次期王位を争うライバル同士。そんな中で、津守連通という人が、二人の仲を明らかにする。それに対して、詠んだ歌。
大船の津守が占に告らむとはまさしに知りて我が二人寝し(万葉集2-109)




