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第194首 大雪の自慢
わがさとに おおゆきふれり おおはらの ふりにしさとに ふらまくはのち(天武天皇)
わたしの里に大雪が降りました。
一面見事な雪景色ですよ。
あなたの古びた里である大原はどうでしょう。
残念ながら、もう少し後になるでしょうね。
【ちょこっと古語解説】
○り……完了を表す助動詞。「~た」くらいの訳。
○大原……今の奈良県高市郡明日香村の地。
○古り……元の形は、「古る」で、「古びる」の意。
○にし……「に」は、元の形は「ぬ」で完了を表す助動詞、「し」は、元の形は「き」で過去を表す助動詞。全体で、「~た」くらいの訳。「~た」の訳に関しては、過去でも完了でも、この「にし」のように過去のある時の完了でも同じ訳になってしまうが、過去と完了を語の上で区別しない現代語の都合上やむをえない。
○まく……「~だろうこと」くらい訳。
わが里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくは後(万葉集2-103)




