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第185首 変る波と心
ありそうみの うらふくかぜも よわれかし いいしままなる なみのおとかわ
波音静かなあのときに、彼女に思いを打ち明けた。
ところが今は波が立ち、ぼくの気持ちを映したよう。
どうか風よ、弱まってくれよ。
彼女に思いが通じた頃の、あの時のさまに戻って欲しい。
【ちょこっと古語解説】
○ありそ海……今の富山県高岡市伏木から氷見市に至る近海一帯。
○うら……海辺のこと。
○かし……強く念を押す意を表す助詞で、「~してくれよ」くらいの訳。
○かは……反語を表す語句。反語とは、「~だろうか、いや~ではない」と疑問の形を借りて、否定する表現のこと。
ありそ海のうら吹く風もよわれかし言ひしままなる波の音かは(新葉和歌集)




