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第181首 片想いの心
はかなしや つらきはさらに つらからで おもわぬひとを なおおもうみは
あの人の薄情な態度をつらいとは全く思わない。
ただ、空しいだけだ。
こちらを思ってくれない人を、それでもやはり思ってしまう我が身が。
【ちょこっと古語解説】
○はかなし……「頼りない・空しい」の意。
○つらき……元の形は「つらし」で、「薄情だ・冷淡だ」の意。
○さらに……打消の語句を伴って「全然~(ない)」という全部否定の意を表す。
○で……打消接続を表す助詞。「~ないで」くらいの訳。
○ぬ……元の形は「ず」で、打消を表す助動詞。
○なほ……それでもやはり。
はかなしやつらきはさらにつらからで思はぬ人をなほ思ふ身は(新続古今和歌集)




