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第176首 夢の支配者
おもいねに わがこころから みるゆめも あうよはひとの なさけなりけり
あの人を思いながら寝ても、あの人の夢を見ない。
こちらが思うだけでは足りないのだ。
彼女の方でもぼくのことを思ってくれないといけない。
夢で会えるかどうかさえ、彼女の気持ち次第。
【ちょこっと古語解説】
○思ひ寝……恋人のことを思い続けながら寝ること。
○逢ふ……単に会うことだけではなく、会って夜を共にすることまで含む。
○人……単なる他人の意ではなく、恋する相手のことを指す。
○なさけ……情愛。
思ひ寝に我が心からみる夢も逢ふ夜は人のなさけなりけり(新続古今和歌集)




