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第174首 恋心消えず
こいしなん のちもこころの かわらずは このよならでも ものやおもわん
この恋に苦しんで死んだあとの話。
もしあの人を思う気持ちが変わらなかったらどうなるんだろう。
この世ではない世でも、物思いに苦しむのだろうか。
【ちょこっと古語解説】
○む……婉曲の助動詞。訳には表れない。
○ずは……「もし~ないなら」の意。
○ならで……「なり」は、断定を表す助動詞で、「~である」くらいの訳。「で」は、打消接続を表す助詞で、「~ないで」くらいの訳。合わせて、「~ではなくて」くらいの訳。
○や……疑問を表す助詞。
恋ひ死なむ後も心のかはらずはこの世ならでも物やおもはむ(新続古今和歌集)




