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第173首 滝の涙落ち
せきあえぬ そでよりおちて うきことの かずにもあまる たきのしらたま
袖からあふれるほどのぼくの涙。
まるで滝の飛沫のようで、止めることができない。
泣いている回数は、君のひどい振る舞いより多いはず。
君につらくされるたび、一度きりじゃない、何度も泣いてしまうのだから。
【ちょこっと古語解説】
○せき……元の形は「せく」で、「せき止める」こと。
○あへぬ……元の形は、「あへず」で、「~しようとして~しきれない」の意。
○憂き……元の形は「憂し」で、つらい。
○滝の白玉……滝の飛沫のことだが、古今和歌集のある和歌の表現を元にしており、ここでは、涙を表す。
せきあへぬ袖よりおちて憂きことの数にもあまる滝の白玉(新続古今和歌集)




