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第170首 まずいいえ
もがみがわ いなとこたえて いなぶねの しばしばかりは こころをもみん
結婚の申し込みをしてきた彼。
最上川を走るいな舟じゃないけれど、ちょっと急すぎるかな。
受けてあげてもいいんだけど、まずは、いな、と答えよう。
それでもわたしのことを諦めないか、気持ちを試してあげるの。
【ちょこっと古語解説】
○最上川……山形県南部の山地に発して、中央部を北に流れ、酒田市で日本海に注ぐ川。急流として知られる。
○いな……いいえ。
○いな舟……刈り取った稲を積んで運ぶ小舟。
○しばし……しばらく。
○む……意志を表す助動詞。「~しよう」くらいの訳。
最上川いなとこたへていな舟のしばしばかりは心をも見む(新後拾遺和歌集)




