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第169首 恋心負けず
うらみても なおしたうかな こいしさの つらさにまくる ならいなければ
あの人のことを恨んでも、それでもなお恋い慕ってしまう。
思い続けることは、苦しいこと。
それでも、恋しさが、その苦しさに負けることなどない定め。
【ちょこっと古語解説】
○なほ……それでもやはり。
○ならひ……決まり、定め、のこと。
○なければ……「なけれ」+「ば」。「なけれ」は、元の形は「なし」で、「無い」の意。「ば」は、原因・理由を表し、「~なので」くらいの訳。全体で、「無いので」となる。
恨みてもなほ慕ふかな恋しさのつらさに負くるならひなければ(新拾遺和歌集)




