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第166首 結ばれぬ夢
おもいつつ いかにねしよを かぎりにて またもむすばぬ ゆめじなるらん
あの人のことを思いながら寝ると、あの人の夢を見た。
でも、それはそのとき限りのこと。
あのとき、どんな風にして寝たのだろう。
思い出さないと、今夜も夢で会えないんだ。
【ちょこっと古語解説】
○いかに……どのように、の意。
○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。
○むすば……元の形は「むすぶ」で、ここでは、夢を見る、こと。
○ぬ……元の形は「ず」で、打消を表す助動詞。
○夢路……夢の中で行き通う道。夢の中、のこと。
○らむ……推量を表す助動詞で、「~だろう」くらいの訳。
思ひつついかに寝し夜を限りにてまたもむすばぬ夢路なるらむ(新拾遺和歌集)




