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第159首 面影たより
みちのくの まののかやはら とおけども おもかげにして みゆというものを
あなたはわたしから遠く隔たったところにいる。
陸奥にある真野の萱原くらい遠くに。
だから目には見えないけれど、心は遥か。
あなたの姿がありありとまぶたの裏に映る。
【ちょこっと古語解説】
○陸奥……今の青森・岩手・宮城・福島の四県。東北地方全体を指すこともある。
○真野の萱原……福島県南相馬市鹿島地区の、真野川沿いの地をいう。
○面影……「まぼろし・幻影」の意。
陸奥の真野の萱原遠けども面影にして見ゆといふものを(新千載和歌集)




