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第157首 ありありと
おきもせず ねもせであかす とこのうえに ゆめともなしの ひとのおもかげ
はっきりと起きるわけでもなく、かといって深く眠っているわけでもない。
そんな風に夜を明かすと、床の上に、まぼろしが立つ。
それは恋しいあの人の姿。
夢であるとも思われないほどはっきりと、この目に映る。
【ちょこっと古語解説】
○で……打消接続を表す助詞で、「~しないで」くらいの訳。
○床……寝床、のこと。
○とも……~ということも。
○人……「恋しいあの人」の意。
○面影……「まぼろし・幻影」の意。
起きもせず寝もせで明かす床の上に夢ともなしの人の面影(新千載和歌集)




