156/297
第155首 永遠に巡る
きみゆえや はじめもはても かぎりなき うきよをめぐる みともなりなん
あなたのせいで、きっとわたしは生まれ変わる。
何度も何度も、この辛く苦しい世の中に。
始まりも終わりもない世界に落ちて、永遠に恋の苦しみを味わうのだ。
【ちょこっと古語解説】
○ゆゑ……「原因・理由」を表し、「~によって・~のために」くらいの訳。
○や……疑問を表す助詞。
○うき世……つらいこの世の中。
○めぐる……「回る」ことだが、ここでは、幾度もこの世に生まれかわる、意を表す。
○なむ……「な」は、元の形は「ぬ」で、確述を表す助動詞。「確述」とは、これから起こることが「確」実であると「述」べる用法。「必ず~」くらいの訳。「む」は、推量を表す助動詞で、「~だろう」くらいの訳。合わせて、「必ず~だろう」くらいの訳となる。
君ゆゑやはじめもはても限りなきうき世をめぐる身ともなりなむ(新千載和歌集)




