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第151首 迷ってなお
まよいそめし ちぎりおもうが つらきしも ひとにあわれの よよにかえるよ
恋に迷い始めた。
その原因である前世からの宿縁を思うのがつらい。
つらいのだけれど、恋はやめられない。
世々を経て繰り返されてきた人への愛情の念に帰ってしまう。
【ちょこっと古語解説】
○そめ……元の形は「そむ」で、「~し始める」の意を添える。
○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。
○契……前世からの因縁のこと。この世の出来事は、前世でしたことが原因になっているという考え方の、その原因のことを「契」という。
○つらき……元の形は「つらし」で、つらい、ということ。
○しも……逆接の意味を添える助詞。「~にもかかわらず」
○世々……多くの世代、の意。
まよひそめし契おもふがつらきしも人にあはれの世々にかへるよ(風雅和歌集)




