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第150首 恋心と夕雲
こいあまる ながめをひとは しりもせじ われとそめなす くものゆうぐれ
恋しさに溢れるようになったわたしのこの気持ち。
雲が夕暮れに赤く染まっている。
あの人は知りもしないだろう。
わたしの気持ちがしみ出して、あの雲を染めるのに一役買っていることを。
【ちょこっと古語解説】
○ながめ……物思いのこと。
○人……恋しいあの人、の意。
○じ……打消推量を表す助動詞。「~ないだろう」くらいの訳。
○そめなす……「そめ」は、元の形は「そむ」で、「染める」の意。「なす」は、動詞に付いて「ことさらに~する」という意味を添える。
恋ひあまるながめを人はしりもせじ我とそめなす雲の夕ぐれ(風雅和歌集)




