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第149首 万象の悲し
そらのいろ くさきをみるも みなかなし いのちにかくる ものをおもえば
空の色を見ても、草や木を見ても、物悲しい。
それはわたしの気持ちが沈んでいるからだろう。
あの人への思いに、この身も沈みそう。
この恋は、命に届く。
【ちょこっと古語解説】
○かなし……ここでは、「悲しい」の意味だが、「愛しい」という意味でも使われる。
○かくる……元の形は「かく」で、ここでは、関わる、ほどの意。
○物を思へ……元の形は、「物を思ふ」で、物思いをすること。
○ば……「原因・理由」を表す助詞。「~なので」くらいの訳。
空の色草木をみるもみなかなし命にかくる物を思へば(風雅和歌集)




